2006年3月30日木曜日

女性についてー5


結婚の変遷
この半世紀の間に日本人の価値観は随分と変わったと思う。これほど変化にうまく対応できる民族も少ないのではないか?日本が戦後、これほどまで成長を遂げることが出来たのも、戦後の急速な変化に対応出来たからだと言われている。大正元年生まれの僕の祖母が結婚した時は、家族間で決められた予定結婚で、相手の顔も見ず、身一つで祖父のもとに嫁いだ。それは今から60年くらい前の話だが、そんな結婚が当たり前だった。僕の親の世代、今から40年前はそこまでひどくはないが、結婚の大方がお見合い結婚だ。それからの変化がもの凄い。情報産業が発達するに従って、結婚に対する価値観もどんどん変化し、今や結婚そのものの価値が問われている。
文化の違いによって、結婚の形もさまざまだ。アフリカや中東諸国では一夫多妻性が当たり前、先進国になるに従って、一夫一妻制となる。フランスなどの恋愛先進国では一年ごとに上手く行くかどうかの査定をする契約結婚や、戸籍を入れずにパートナーとして暮らすことも一般的になってきた。結婚に関する歴史的背景はよくわからないが、結婚すると法律的に縛られることからわかるように、人間が決めたものだ。このようなことを書くと、人種差別的と批難されるかもしれないが、米国の黒人家庭にはシングル・マザーが多い。貧困等の社会的問題点がその主な原因なのであろうが、黒人男性は女性の間を次から次へと渡り歩いていきやすいらしい。そういう男性の勝手な行動を制限するのも結婚の大切な役割なのだ。

多夫一妻制
しかし、動物学的に見ると一夫多妻どころか、多夫一妻制のほうが一般的らしい。これは英国科学雑誌“ネーチャー”に記載されていたので正しいと思う。小鳥を例にとってみるとわかりやすい。みごもって巣にじっとしている雌鳥は自分でえさを採ることすらできない。えさは雄鳥が運ぶのだが、もし一夫一妻だとしたら、子を育てる雌鳥にとって危険極まりない。自然には外敵がいっぱいで、もしこのえさを運ぶ雄鳥が車にでもぶつかって死んだら、雌鳥とひな鳥もろとも、えさが食べられず全滅してしまう。このような危機に備えてこの雌鳥にくっつく雄鳥はたくさんいた方が安全だ。小鳥の場合、雌はたくさんの雄と交尾するらしい。なぜなら、雌と交尾した全ての雄鳥たちが自分の子供だと思ってえさを運ぶので、雌鳥にとって一匹の雄鳥とつがいになるより格段に安全となる。太古の昔、人間も小鳥と同様な状況であった。“遺伝的には男性よりむしろ女性のほうが一時に複数の男性と関係を持ちやすい。”と言うのがこの科学雑誌の学説だ。この見解は僕のような昭和40年代の男性には意外な事実で、驚きを隠せない。我々おじさん世代の男性は、女性に対して汚れなき生き物みたいなイメージがあった。女性は男性より一歩下がって、男性を引き立てる立場にあるという固定観念がついこの前まで一般的だった。

女性に嫌われないために
女性が男性を動物的にその価値を判断するのも、この遺伝子が強いからと言える。野球選手がやたらモテるのも、男としての肉体的能力(大昔の狩猟能力)とお金を稼ぐ能力(現代の狩猟能力)両方を持ち合わせる、現代社会におけるたぐいまれなる存在だからだ。女性は本能的にその辺りを嗅ぎ分ける。では、プロスポーツ選手やIT起業家などの限られたモテ男たち以外の普通の男性たち対する女性の扱いはどうだろうか?女性は相手の男性に、ある程度の経済的能力(現代の狩猟能力)がなければ、結婚の対象としては見向きもしないだろう。ましてや男性が“秋葉系”のようなオタク化すると、軽蔑の対象にするほど女性は現実的で厳しい。一見、男性にとって不平等のように思える女性の男性に対する評価は、女性たちが生き残るために過去に培った遺伝子を考慮に入れると仕方のないことだ。
この女性特有の遺伝子のことを思うと、美容外科医として女性を見ていても納得のゆくことが多い。既婚の女性がどうしてエステや美容外科に来て、美しさを維持するのか?答えは簡単、雌鳥の遺伝子が作用している。いざというときに、異性からアプローチされるチャンスを失わないためには、つねに魅力的でいなければいけない。例えば、ある夫婦の日曜、旦那の友人が突然遊びにきたとする。日曜の午後、妻は全くお化粧をしていないでのんびりしていた。旦那は妻にすぐにお茶を出すように言っても妻は「ちょっと待ってて、お化粧をしてくるから。」とすぐに旦那の友達に会いたがらない。旦那は腑に落ちない。「もう、結婚しているんだし、何も俺の友達の前でおめかししなくたっていいじゃないか。」と内心思っている。女性は本能的に転んでもただで起きないように遺伝子で組み込まれている。
僕のクリニックには1割の男性客と9割の女性客が来る。ほとんどの男性はホームページをしっかり読んでいて、同じことを説明しようとすると、「それはもうわかっています。治療に移って結構です。」と繰り返しを許さない。男性のお客さんは、僕を含めて、クリニックがどんな雰囲気なのか確認しに来ているに過ぎない。それに対して女性はホームページに書いてあることでも、何度でも繰り返して質問してくる。質問に答える僕の話し方、態度などを見て、この人間が信頼するに値するかを見極められていると感じる。このように異性を観察するという点で、女性は男性よりずっと感が良い。だから、女性を相手に仕事をする場合、男性は誠心誠意を尽くさなければすぐに見破られてしまう。女性にいかに嫌われないで生きてゆくか、これは美容外科医だけではなく、全ての男性に与えられた最も大切なテーマの一つである気がしてならない。

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