2006年6月9日金曜日

女性について−7(肥満の本当の原因−1)


二重の治療に訪れたのだが。
ずいぶん以前の話だが、若い女性が二重の相談に訪れた。二重は元々奥二重で、治療が必ずしも必要と言えるほどではない。それよりも気になったのは彼女が20代前半にも関わらず、とても太っていることだった。彼女の身長は165cm、体重は少なく見ても60キロはある。二重の治療の方法についてカウンセリングを終えてから、今回は片目の治療のみを行うこととした。僕は余計なことかと思いつつ、「○○さん、ダイエットはこれからの長い将来の健康を考えると、とても大切ですよ。」と彼女に伝えた。彼女ははっとした顔をして、僕に「はい。わかっているんですけど、、、全然やせないのです。」と答えた。僕は「いつから、体重が増えたんですか?多分、○○さんの理想体重は50〜55キロくらいだと思いますよ。少なくともあと5キロは痩せる必要があります。」と続けた。彼女は真剣な表情をして、「先生、どうしたら痩せることができるんですか?」と聞き返してきた。僕は「まず、二重の治療が終わってから、ゆっくり相談しましょう。」と二重治療を行った。

ダイエットに関するカウンセリング
右目の二重治療は一カ所のみの縫合だったので、5分程度で終了し、腫れもほとんど起こらない。彼女は治療が終わったばかりであるのにもかかわらず、心はすでにダイエットのことでいっぱいに見える。よほど、悩んでいたのだろう。若いのに過食などに陥って、急激に太る場合、その背景にストレスと絡んだ原因がある場合が多い。早速、僕は彼女の生活習慣を洗い出すために、次のような質問をした。「○○さん、いつ頃から太りだしたのですか?食生活はどのような感じ?何を食べてから太ってきたのですか?」彼女は「えーと、半年前から急に太ってきたんです。生活が不規則で、夜中におなかがすいて、お菓子をたくさん食べてしまうんです。」と答えた。僕は「ところで、太る前の体重はどれくらいだったんですか?」とさらに質問を続けた。彼女は「今より、10キロは痩せていました。」と答えた。僕は背景にある原因を探るために「○○さんは今学生でしたっけ?」と当たり障りなく、彼女の素性を探ったところ、彼女は素直に「いいえ、今は昼間は何もしていないのです。ただ、夜にキャバクラでアルバイトをしています。」と答えた。
僕はピンとくるものがあった。東京に出てきてしばらくたってから、友人たちと六本木のキャバクラに何度か足を運んでいた頃、若いキャバクラ嬢たちと話す機会を得た。彼女たちの多くが地方出身者で、東京に夢を抱いてやってきていた。しかし、東京で暮らすには生活費がとてもかさむ。若くて可愛らしい子たちにとって、キャバクラでのアルバイトは短時間で高収入を稼ぐチャンスなのだ。だが、理想と現実は食い違い、この仕事のストレスは計り知れない。性に合わない子だと、一日で辞めてしまう。長期にわたって仕事を継続できるのはほんの一握りで、大半の場合、3ヶ月くらいで辞めてしまうことがほどんどらしい。彼女たちに尋ねると、仕事中お客さんと楽しく時間を過ごせるのは10人中1人くらいなもので、後はお客さんの愚痴を聞いたり、自慢話を永遠と話されたりと、愛想がつきるほど退屈な時間を過ごさなければいけない。

過食に陥った本当の原因
この患者さんは地方出身の純粋な子で、見るからにキャバクラの仕事に向きそうにないタイプだ。きっと彼女の場合は、キャバクラ嬢の仕事がストレスとなって、過食傾向にあるのではと疑った。僕は「○○さん、キャバクラでの仕事は精神的に大変でしょう。」と聞いた。彼女は「仕事はなんとかこなせるから大丈夫なんです。でも最近、辛い出来事があって。」と答えた。僕はこの“辛い出来事”に彼女の過食の原因があると踏んだ。僕は「もし良かったら、何がそんなに辛い事だったのか、教えてもらえませんか?」と訪ねた。彼女はあっさりと「実は最近、彼氏と別れたんです。」と言った。僕は「それは辛いですね。彼氏の事は今でも好きなんですか?」と聞くと、彼女は「いいえ、もう終わった事です。よりを戻すことはありません。」と答えた。僕は「なるほど。じゃあ、前に進むしかないですね。」と言った。彼女は僕が尋ねてもいないのに、次のように語りだした。「実は私、不倫をしていたのです。キャバクラで知り合った男性とつきあっていたのですが、その相手には妻子がいたのです。」僕は「○○さんは、その彼氏に妻子がいたのを知らないで付き合っていたのでよね?」と尋ねると「はい、最近まで知りませんでした。それを知って、私は別れる事にしたんです。」と彼女は答えた。彼女は年上の男性に騙された恋愛をしていたのだ。僕はこのショッキングな失恋に、彼女の過食の原因があるに違いないと確信した。
(次回に続く。)

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